空が突然暗くなったり、月が見えなくなったりすることを想像したことがありますか?それが実際に約1000年前に起こったんです。どうしてそんなことが起こったのか分かりやすく解説します。
火山が空に「大きな雲」をつくった!?
大昔の地球では、時々火山が大噴火を起こしました。その時、火山から出た「硫黄(いおう)」という物質をたくさん含んだ煙やガスが、空の上の方、成層圏(せいそうけん)という場所まで届くことがあります。その硫黄の煙が空に広がると、太陽の光をさえぎってしまい、地球の表面が暗くなることがあるんです。それだけでなく、気温も下がり、作物が育たなくなって、人々はとても困ったそうです。
暗い月食(げっしょく)って何?
「月食」って知っていますか?これは地球の影が月に重なる現象で、夜に月が赤っぽく見えたりすることです。でも、1110年5月に起きた月食は、なんと月が真っ暗になってしまったんです。昔のイギリスの記録には、「夜になると月はまったく見えなくなってしまった」と書かれていました。この奇妙な現象に、多くの天文学者たちはびっくりしました。「どうして月がこんなに暗くなったの?」と何百年も議論してきましたが、原因は最近の研究で少しずつわかってきたんですよ。
犯人は「忘れられた火山」?
長い間、月が真っ暗になった理由として、「アイスランドのヘクラ山(ヘクラさん)」という火山が原因ではないかと考えられていました。でも、新しい研究によると、ヘクラ山ではなく、日本の浅間山(あさまやま)が犯人かもしれない、ということがわかってきました。浅間山は、1108年に大きな噴火を起こしました。日本の昔の日記には、「火山から火が吹き上がり、灰(はい)が降り積もった。畑もダメになり、とても珍しいことだ」と書かれています。この噴火によって、硫黄が空高くまで飛び、世界中に影響を与えたのではないかと言われています。
木の年輪(ねんりん)が教えてくれた秘密
木の年輪を見たことがありますか?木の切り株に見える、ぐるぐるとした線のことです。この線は木がどれだけ成長したかを教えてくれます。ところが、1109年の年輪を見ると、その間隔がとても狭かったんです。これは、その年がとても寒かったことを意味します。硫黄の煙が太陽の光をさえぎったせいで、気温が下がり、作物も育たなくなりました。結果として、世界中で飢饉(ききん)や大変な出来事が起きたのです。
なんでこんな研究をしているの?
今では火山の噴火の影響を調べることが、とても重要だとわかっています。もしまた大きな火山噴火が起きたら、私たちの生活にどんな影響が出るのか、準備をするためです。さらに、過去の出来事を調べることで、自然の力がどれほどすごいかを知ることができます。科学者たちは氷の中に閉じ込められた小さな硫黄の粒や、昔の記録を使って、1000年前の世界で何が起こったのかを少しずつ解き明かしているんです。
自然のすごさと怖さ
火山が噴火することで、世界中に影響を与えるなんて、とても信じられませんね。でも、自然がくれるヒントを使えば、私たちは未来に起こることを少しだけ予測できるのかもしれませんね。みなさんも自然についてもっと知りたくなったら、身近なものを観察してみてください。例えば、お庭の木や空の雲を見るだけでも、新しい発見があるかもしれませんよ!